ハープ奏者・池田千鶴子さんのコンサートの締めの曲は、うさぎ追いし―の「ふるさと」であった。日本人なら誰しも一度は耳にしたことのあるこの曲をハープで聴けるとは思わなかった。
 池田さんから皆さんもご一緒に、との呼びかけもあり、百人近い聴衆はハープを伴奏に、それぞれが古里への思いを心に浮かべて、歌っていた。
 ある人は本当に野山を駆け巡る自分の姿を見つけ。またある人は今は亡き母親のぬくもりを感じながら。
 でも池田さんがハープで奏でた「ふるさと」は、郷愁だけではなかった。
文明の利器が幅を利かせるこの時代、見落とされ、ないがしろにされがちな、生き生きとした生への喜びを呼び戻すかのような音色があった。
それは音楽が与える安らぎを真に必要としている闘病者たちや今まさに人生の最後の時を迎えようとしている人々へ向けて積極的にハープ演奏を続けている池田さんだからこそ、出せた音であり、「ふるさと」にのせた彼女のメッセージだったのだと思う。